派遣業界の異端企業から学ぶ、漫画家と出版社がWin-Winになれる方法

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さて今回は、派遣業界の改革を目指す異端企業から、

漫画家と出版社がWin-Winになれる方法について考えます。

今回紹介する企業は、派遣会社の「リツアン」です。

「リツアン」の社長は、もともと大手技術系派遣会社で正社員として働いていて、

派遣社員に対する搾取ともいえる現実を目の当たりにしました。

インタビュー記事をまとめたものを以下に示します。

派遣業界のピンハネ事情

・派遣先企業からの派遣料が月60万円でも、

派遣社員に支払われる給料は20万円台、手取り10万円台前半の派遣社員も多い。

→派遣会社は一人の派遣社員から月30~40万円も利益を得ている

上記のピンハネで質が悪いのは、

「派遣社員にはクライアントから支払われる派遣料からどの程度抜かれているかわからない」ことです。

野中氏は派遣社員A氏と飲みに行った時、

「僕には小学生になる子供がいます。今の給料では子供の学費も心配ですし、将来の生活もどうなるかわかりません。会社を辞めたいと悩んでいます」

と言われて、

上司にA氏の給料を上げるように掛け合いましたが、

上司は「何を言っている。もっと利益を上げろ。もっと契約を取れ。今期の目標は前年比120%だ」

と言い、派遣社員を無機質な商品のように扱う上司の態度に失望しました。

野中氏は

彼が会社のためにがんばるほど、彼の家族は不幸になる。私はまるで自分が罪を犯しているのではないかと思うようになりました」

そんな派遣業界の闇を見て、野中氏は会社を辞めて、「ピンハネ屋」と言われてきた人材派遣の仕事を変えることを決意しました。

「リツアン」では派遣社員の給料をオープン

まずはじめに、業界のタブーである派遣社員の給料をオープンしました。

→派遣社員の給与明細には、

派遣先企業からいくら派遣料が支払われ、

リツアンがいくら手数料を取り、

社会保険料がいくら引かれているかを全て記載しました。

「リツアン」なら10年で1500万円の給料の差が出る!

ソフトウェア・機械設計・研究開発の3つの分野の

全国平均マージン率は39.1%

しかしリツアンでは、入社1~3年の「時給制」のマージン率は29.4%、

入社4年目からの「プロフェッショナル契約」では19.1%と、

全国平均に比べると、20%も低い。

→入社4年目以降の平均年収は、実に750万円を超えるとのこと。

結果、10年で1500万円の給料の差が出るのです。

正のスパイラルにより、インバウンドで依頼がくるようになる

業界No.1ともいえる給料を実現

→多くの優秀な人材が集まるようになる

→高い給料でモチベーションが上がった派遣社員は仕事の評価が上昇

→リツアンの評価も上がり、新規の派遣依頼につながる

つまり、派遣社員自身が、営業マンとなっているんです。

結果、リツアンの営業を担当する内勤社員が少なくてすむので、

運営費は少なくなり、マージンは少なくても大丈夫なんです。

飲み会代を支給し、インバウンドで派遣社員がくるようになる

また、派遣社員が職場同僚や上司と飲みに行くことを奨励していて、

その際、一人当たり5000円まで支給するというのです。

→飲み会の場でリツアンの派遣社員の給料の高さを知る

→リツアンに入社してくる

派遣社員の紹介によって、リツアンに入社してくる人が8割を超えるようになったとのことです。

結果、派遣社員を獲得するためのコストを抑えることができるんです。

事務所の家賃を抑える

リツアンの本社は、静岡県の掛川市にあります。

最大の理由は、事務所の家賃が安いところです。

家賃は毎月17万0384円です。

他の派遣会社の本社などがある一等地のオフィスビルではありえない安さですね。

そもそも派遣会社が立派なビルにオフィスを構える必要はないんです。

仲がいいエンジニアでも一度派遣されたらリツアンに来社することは年に2~3回程度で、会社で会うよりも居酒屋で会うほうが圧倒的に多いとのこと。

結果、事務所の家賃を抑えることにより、

抑えた家賃分を派遣社員の給料に還元することができるんです。

漫画業界は、出版社が漫画家からピンハネしている

さてここまでは、派遣業界を紹介してきましたが、

なぜ今回、派遣業界を紹介したかというと、漫画業界と似ていると思ったからです。

派遣業界は派遣社員からピンハネしていますが、

漫画業界は出版社が漫画家からピンハネしています。

漫画家はどの程度が出版社にピンハネされて、

原稿料や印税が決まっているかは当然わかりません。

こんなにも出版社に貢献しているのに、原稿料や印税が低いのか不満を持つ漫画家もいると思います。

そういった不満を編集者に伝える漫画家もいると思います。

不満を無視する編集者もいると思いますが、

漫画家のことを考えて編集長に

「原稿料や印税を上げて欲しい」と直訴する方もいると思います。

しかし、編集長には

「何を言っている。そんなことよりもっと利益を上げろ。もっと部数を売れ。」と言われてしまうでしょうね。

だって原稿料や印税は上げれないんですよ、編集者の給料が下がってしまうから。

漫画家ではなく、自分たちの給料が最優先ですから。

出版社の組合は強いですし。

ただ、電子コミックが拡大していく中、今後そんな態度では漫画家は来てくれなくなるでしょうね。

これからの時代は、漫画家を第一に考えることが必要

これまでの記事で紹介しましたが、

漫画家は出版社に頼らなくても漫画を売ることができますし、

電子出版各社の漫画家の囲い込みが激しくなっています。

漫画家に対して「無機質な商品のように扱う態度」では、

もう漫画家に来てもらうことはできないでしょう。

今回、紹介した派遣会社「リツアン」が派遣社員のことを第一に考えたように、

出版社も漫画家のことを第一に考えなければいけません。

・どうすれば漫画家に来てもらえるのか?

・会社は漫画家にどういった価値を提供できるのか?

などを常に考えていける会社が漫画家を獲得し、生き残っていけると思います。

漫画家に対して、十分な情報・価値を提供する

現在、出版社は漫画家にとって欲しい情報・価値が十分に提供できていないと思います。

例えば新人賞の場合、

・受賞者を出さないことがある

・受賞=連載というわけではない

・連載になった場合の給料についての言及はない

・コミック化の場合の印税がわからない

これでは、漫画家は集まらないでしょうね。

なので以下のように、出版社は漫画家が欲しい情報・価値を提供するんです。

・新人賞では必ず受賞者を出す

・受賞すれば、即連載

・連載作家になった場合、給料を支給(具体的な金額を記載)

・コミック化の場合の印税を記載

マージンなどの情報も公開

また、「リツアン」のようにマージンなどについても漫画家に公開してしまえば良いと思います。

「こういった項目にこういった金額が必要なので、先生への印税はこの額になります」といった感じで。

そうやって情報公開していけば、漫画家はピンハネ・搾取されている感じは少なくなるのではないでしょうか。

オフィスの家賃を安くしよう

オフィスについても、高層オフィスの高そうなビルではなくてもいいじゃないですか、

適当なマンションの一室とかでも仕事はできますよ。

浮いた家賃を漫画家に還元しましょうよ。

結果的には会社の利益につながる

徹底的に漫画家のことを考えて行動を実施していけば、最終的には会社にかえってきます。

漫画家は会社が広告や営業をかけなくても、

集まるようになるので、コストは抑えれますし、

多く集まった漫画家の中からは、大ヒット作品を出す漫画家も出てくるでしょう。

そうすれば結果として、会社として利益が上がりますよね。

現段階でも、漫画家のことを考えた会社は出てきていますが、

まだ徹底的に漫画家を最優先しているというわけではありません。

とはいえ、漫画家を最優先に考えた出版社が出てくるのも時間の問題だとは思います。

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